サステナビリティ

ごあいさつ

HX2025の順調な進捗の先に
経営理念「世界の人々のQOL向上を目指す」の
実現を確かなものにするため、一層の取り組みを進めます

「Withコロナ」を迎えて

2023年5月に新型コロナウイルス感染症の分類が5類に変更されました。日本国内にとどまらず、グローバルにおいても徐々に平穏さが戻ってきているかと思われます。一方で、新たな地政学的リスクの高まりや、今後も懸念される感染症リスク、さらに気候変動による影響への不安といった社会の不確定性は、増大することも予想されます。

創業175周年を迎えた当社にとっても、このような社会変革の様相は、未経験の領域であり、すべてのステークホルダーとのパートナーシップを強固にし、社会の一員として重要な責務を担っていくべく、相応の覚悟を持って取り組みを進めなければならないものと考えています。

また、このような環境の中で持続的成長を実現するために中期経営方針を定め、売上高成長率CAGR5%以上、海外売上高比率50%以上、ROE(自己資本利益率)8%以上、成長投資1,500億円を目標として定め、取り組んでいます。

中期経営方針の進捗

2021年9月に発表した「HX2025(HisamitsuTransformation 2025)第7期中期経営方針」では当社が育んできた文化を受け継ぎつつ、新たに果たすべき使命を定義しました。それは、貼付剤にとどまらず、さまざまな商品、サービスなどを通じて世界中の人々へ思いやりに溢れた『「手当て」の文化を、世界へ。』の実現に向けて展開することです。この使命を達成するための活動方針としてExpand~拡大する~『成長の柱』、Exceed~壁を超える~『課題の克服』、Enhance~強化する~『機能の強化』を定め、さらなる成長を目指すとともに2025年度には売上高成長率CAGR5%以上、ROE8%以上および海外売上高比率50%以上を経営目標とし、収益性を向上させ、持続的成長の基盤を確立してまいります。


Expand~拡大する~『成長の柱』

サロンパスの海外展開(重点地域へのリソース集中、新サロンパスの拡大)に関しては、国・地域により多少のばらつきはあったものの、おおむね計画通り売上が伸びています。日本国内においてはコロナの落ち着きとともにインバウンド需要が高まり、復調の兆しが見られます。

医療用医薬品においてもジクトルテープの売上拡大、原発性手掌多汗症治療剤アポハイドローションの発売など、疼痛治療に加え、新たな成長領域の構築を進めています。


Exceed~壁を超える~『課題の克服』

米国を含む海外の売上は順調に推移し、海外売上高比率も41.8%となりました。Eco活動においては、「HELLO!eco!」商品の一層の拡大を進めています。また海外医療用医薬品では、米国におけるXELSTRYM(開発コード:ATS)の展開に取り組んでいます。今後はさらにサーキュラーエコノミーの観点からもしっかりとした寄与を果たすような取り組みを進めていきます。


Enhance~強化する~『機能の強化』

2024年3月竣工予定の新研究所に向けた研究開発体制の再構築においても、中期経営方針全般の整合性を踏まえ着実に進めています。パイプラインに関しては、オープンイノベーションを含めた研究開発体制の一層の進展に向けて着実に取り組んでいます。社内体制の整備ついては、人的資本の適切なマネジメントを実施するとともに、DX推進による業務効率化、組織・事業変革をkey elementsとしてHX2025達成を確実なものにする取り組みを進めています。


2023年2月期におけるHX2025の目標への進捗については、売上高「CAGR5.0%以上」に対して、5.9%となりました。

海外売上高比率「50.0%以上」については、米国をはじめとする海外実績が順調に推移し41.8%となり、目標達成に向けて取り組みを進めてまいります。

ROE「8.0%以上」に関しては、現実績4.7%であり、まだまだ改善の余地もあると思いますが、今後本格的にDXの推進を進めていくことや新たな研究開発体制のスタート、成長投資による寄与などを鑑み目標達成を目指していきます。

サステナビリティ領域への対応

2021年に設置したサステナビリティ推進委員会の機能を一層充実させるとともに経営との一体化を図りあらゆるステークホルダーの期待に応えることが可能な企業文化の醸成を進めていきます。自社の環境・社会への影響を図り、これまでも継続している災害被害者への支援や「久光製薬株式会社ほっとハート俱楽部」を通じた社会活動団体への支援なども重要だと考えています。

今般一般生活においても重要な課題となっている気候変動への対応は、久光製薬にとっても最重要課題の一つです。国内の制度開示においてTCFD開示が求められるなどその緊急度は増すばかりだと考えています。

久光製薬グループにおいては、上記課題への対策として、
1.使用するエネルギーを極限まで減らすこと
2.使用するエネルギーをグリーンなエネルギーに転換すること
3.残った外部影響分を相殺するためのあらゆる手段を構築すること
といった観点で着実に進める必要があると考えています。

エネルギー使用量の低減については、自社オペレーションを常に見直すとともに、宇都宮工場が立地する清原工業団地スマエネ事業のような地域エネルギーマネジメントへの参画といった取り組みも進めています。

また、商品サービスを通じた環境負荷低減としては、「HELLO! eco!」を通じたスコープ3の影響低減も重要と考えています。いずれにおいても国際機関はもとより、各国政府・行政や企業、NPOなどとも協力して進めていくことが必要になります。

「生物多様性」課題についても、今後の動向を踏まえ適切な対応を図る必要があると考えています。現在、開示対応しているTCFDと同様にTNFDについても随時、対応を進めてまいります。特に製薬業界においては販売後の状況についてあまり配慮してこなかった経緯もあり、取り組む必要があると考えています。日本の佐賀県鳥栖市という大都市とは違い自然豊かな地域に本社を構える久光製薬としても改めて検証を進めるべき課題だと考えております。

社会面においては、「人権」の課題も重要です。これには、自社従業員、サプライヤーでの働き手、ならびに患者さんとその家族に対してなど広範囲な対象が含まれます。海外での事業活動も一定の割合をもつ久光製薬にとっても取り組みを進める課題だと考えています。

これら、サステナビリティにかかわる課題は事業活動とも密接に複層的にかかわっています。常に広い視野を持ち、取り組みを進めることが重要だと認識しています。

ステークホルダーの皆さまへ

未曽有の不確実性を伴う社会情勢とともにどういった企業運営を行っていくのか?という面では大変難しいかじ取りが求められていると認識しています。また一方では、多くの機会を見出して成長していくことが可能な時代でもあると考え方をシフトしていく必要もあるかと思っています。

創業200年に向けて、何ができるか?何をすべきか?については、さまざまなステークホルダーの皆さまとより一層のエンゲージメントを行い、社会に必要とされる企業グループでありたいと願っています。それが、経営理念である「世界の人々のQOL向上を目指す」ことと同義のものになると強く思っております。

世界的には、気候変動、人権といったサステナビリティにかかわる課題が企業活動とも密接にかかわり、経営判断においても重要な要素となっていることが自明なことになっています。

これまで培ってきた久光製薬の企業文化を外部のステークホルダーの皆さまとも共有し、さらにブラッシュアップしていけるよう取り組んでまいりますので、変わらぬご支援・ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

代表取締役社長 中冨一榮

PAGETOP