サステナビリティ

ごあいさつ

固定観念や既成概念にとらわれず、
不変の経営理念
「世界の人々のQOL向上を目指す」のもと、
事業に変革(Hisamitsu Transformation)を
起こしてまいります。

お客さまの声を大切に
新たな商品・サービス提供に挑戦

新型コロナウイルス感染症が世界中で拡大して2年が経過しました。国際的な人の往来再開に向けた取り組みも始まりましたが、この間に世界中でワクチン開発が進み、新たな生活に根差した新たな商品・サービスが登場するなど「Withコロナ」の生活もすっかり社会では定着しました。

従来の価値観が崩れ新たな生活様式が浸透する中、創業175周年を迎えた当社がこれからも社会の一員として存在していくためには、社会の変化に適応して変革を実行し、経営理念実現に向けて独自の強みを持つ企業と協業しながら、お客さまのニーズに応える新たな商品・サービスを提供し続けなければならないと考えています。

2021年9月に九州大学発のバイオベンチャー企業である株式会社ガイアバイオメディシン(以下「ガイアバイオメディシン」)の第三者割当増資を引き受け、同社に約2億円を出資いたしました。ガイアバイオメディシンが開発している「GAIA-102」は、他家 NK細胞様CD3陰性細胞であり、固形がんに対し、非常に高い細胞傷害性を発揮することが期待されております。

2021年12月にはラクオリア創薬が創製した新規ナトリウムチャネル遮断薬に関するライセンス契約の締結について合意しました。新規ナトリウムチャネル遮断薬であるRQ-00350215は、痛み信号の伝達に関わる特定のナトリウムチャネルの機能を選択的に遮断することにより、既存の薬剤では十分な鎮痛効果が得られない慢性疼痛に対する画期的な新薬となることが期待されます。

2022年3月にリウマチ・整形外科領域のスペシャリティファーマ、あゆみ製薬株式会社の間接的な100 %親会社であるAYM HD株式会社の株式を取得することで、あゆみ製薬との関係性を強化するとともに、整形外科を中心とした領域での協業等を検討してまいります。

国内の一般用医薬品事業では、2021年10月には、当社の貼り薬で使用している伸縮性不織布を採用した「貼り薬の不織布で作ったマスク」を新発売し、 2022年1月には鎮痛消炎プラスター剤「ら・サロンパス」をリニューアル発売しESG推進の一環として、従来のパッケージサイズを縮小し、紙の使用量を低減するとともに、薬袋の開封口を広げて商品を取り出しやすくしております。また、健康食品を中心に通信販売を行っていた「HisamitsuいきいきOnline」にて、2021年10月より医薬品の取扱いを開始しました。

当社が存在するのはお客さまが当社商品を買ってくださるからです。だからこそ、常にお客さまの声に耳を傾け、考え、応えていくことが大切です。そしてこの信念をもとに、全従業員が失敗を恐れずチャレンジする気持ちを持ち続けるためにどうすれば良いかを考え、経営に取り組んでいます。大切なのはチャレンジした結果の失敗から多くのことを学び、同じ失敗を繰り返さないことです。常に前を向いて、従業員一丸となって今まで以上に社会に貢献し成長を続けてまいります。

中期経営方針について

当社は貼付剤の研究開発、製造販売を通して世界中の人々のQOL向上を目指してまいりました。その中には、大切な人に手を添え、心を込めて癒す当社が創業以来大切にしてきた、いたわりの治療文化「手当て」の思いが含まれています。2021年9月に発表しました「第7期中期経営方針、HX2025(Hisamitsu Transformation 2025)」では当社が育んできた文化を受け継ぎつつ、新たに果たすべき使命を定義しました。それは、貼付剤にとどまらず、様々な商品、サ ービスなどを通じて世界中の人々へ思いやりに溢れた『「手当て」の文化を、世界へ。』向けて展開することです。この使命を達成するための活動方針としてExpand~拡大する~『成長の柱』、Exceed~壁を超える~『課題の克服』、Enhance~強化する~『機能の強化』を定め、更なる成長を目指すとともに2025年度には売上高成長率CAGR5%以上、ROE 8%以上および海外売上高比率50%以上を経営目標とし、収益性を向上させ、持続的成長の基盤を確立してまいります。

こうした新しい企業使命の中で新しいプロジェクトや新しい仕事の取り組み、新しい発想が生まれてきている一方で、足元では新たな地政学リスクが台頭し、世の中の需要と供給のバランスが、現在、世界的にも、日本国においても、崩れてきているということを実感しており、サプライチェーンにおける価格交渉の報告を聞いています。計画発表時から新たなリスクが台頭しましたが、お客様第一主義という基本方針を念頭に、モノづくりに励み、良いものを作り続けるということを徹底して、一丸となって取り組みを進めてまいります。

事業別の取り組み

国内の医療用医薬品事業につきましては、高齢化が急速に進行する中、後発品使用促進策の強化や長期収載品の薬価追加引き下げなど、今後も医療費抑制策は継続されることが予想されます。このような厳しい経営環境のもと、当社は、医療関係者への学術情報活動を一段と強化するとともに、医療関係者や患者さんのニーズに合致した新しい製剤の開発を目指します。また、営業、生産および研究開発の機能を強化するとともに、収益の一層の向上を目指し、更なる成長に努めます。

国内の一般用医薬品事業につきましては、市場の低迷が長期化し企業間競争が激化する中で、既存商品の売上伸長を図るとともに、お客さまのニーズにお応えできるよう商品の改良および新商品の開発を行います。

海外の事業展開につきましては、知的財産、製造技術および品質管理技術を含めた当社ブランドの確立を図るとともに、海外生産工場の一層の充実と海外における臨床試験の強化を図ります。

新しい企業使命を戦略の中心に据える

当社グループは、医薬品などの創製・育薬・製造・販売を通じて「世界の人々のQOL(クオリティ・オブ・ライフ:生活の質)向上を目指す」を経営理念と定めています。また、当社は非連続的な変化に適応し、多様化するお客さまのニーズに応えるべく企業使命を『「手当て」の文化を、世界へ。』と発展的に変更し、貼付剤にとどまらず、様々な商品・サービスを通じて世界中の人々へ思いやりに溢れた「手当て」の文化を広げる活動を積極的に展開してまいります。

2021年には、社会課題の解決および当社が持続的な成長を遂げていくためのマテリアリティ(重要課題)を特定しました。マテリアリティへの取り組みを通じて、ESG(環境・社会・ガバナンス)およびSDGs(持続可能な開発目標)を推進することで、企業としての社会的責任を果たすとともに、持続可能な社会の構築に貢献してまいります。

生産環境面につきましては、九州本社、宇都宮工場において、環境マネジメントシステムに関する国際規格である「ISO14001」、労働安全衛生マネジメントシステムに関する国際規格である「ISO45001」の認証事業所として、地球環境の保全および従業員の健康と安全に配慮した働きやすい職場環境づくりに取り組んでおります。

宇都宮工場では、内陸型工業団地内の複数事業所間で電力と熱(蒸気・温水)を共同利用する国内初の「工場間一体省エネルギー事業」を開始し、既存の工業団地における面的なエネルギー利用による高効率化モデルとして、全国への普及拡大が期待されています。

本事業は、栃木県が2014年3月に策定した「とちぎエネルギー戦略」に基づき、カルビー株式会社・キヤノン株式会社・当社の3社7事業所が、ガスコージェネレーションシステムの導入などの実績を持つ東京ガス株式会社および東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社(以下「TGES」)と連携することで実現しました。TGESが新設した清原スマートエネルギーセンターで効率的に作られた電力と熱(蒸気・ 温水)を、ネットワーク化された電力自営線と熱導管を通じて利用することで、事業所単独では難しい大幅な省エネ(約20%・約 11,500kL/年)・省CO₂(約20%・約23,000t/年)を実現した事例です。

本取り組みに加え、エネルギー安定供給によるレジリエンスの向上、地産地消型エネルギーインフラの構築に伴う地方創生にも貢献する事例として高く評価され、2021年度省エネ大賞の省エネ事例部門において「経済産業大臣賞(共同実施分野)」を受賞しました。

当社は、環境と労働安全衛生を管理するために、EHS管理委員会および安全衛生委員会を設置し、これらの委員会を統括管理するため、統括EHS管理責任者を設置しています。定期的に委員会を開催し中期目標設定および実績報告、リスクと機会の抽出、マネジメントシステムの運用等について協議しEHSの効率的な運用に努めています。

ステークホルダーの皆さまへ

1847年に創業し、175周年を迎えた当社は、お客さまをはじめ多くのステークホルダーの皆さまに支えられ、ここまで企業活動を継続することができました。これからも不変の経営理念「世界の人々のQOL向上を目指す」のもと、持続可能な社会の実現に向けて変革しながら価値創造を続けることが今後の当社の存在意義であると思っています。

また、当社が社会に対して果たすべき役割は、優れた商品・サービスの提供を通じて「手当て」の文化を世界へ広げ、世界の人々のQOL向上に貢献することです。その実現のために法令遵守にとどまらない高い倫理観と誠実な行動が全従業員に求められ、これからも変わることはありません。一方で、当社の長い歴史の中で築き上げてきた土台を大切に守りながら、固定観念や既成概念にとらわれず、脱慣例、新提案によって事業に変革(Hisamitsu Transformation)を起こしてまいります。

今後も久光製薬グループはステークホルダーの皆さまのご期待にお応えしながら、社会とともに成長し続けられるようグループを挙げて取り組んでまいりますので、変わらぬご支援をよろしくお願い申し上げます。

代表取締役社長 中冨一榮

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