サステナビリティ

ごあいさつ

グローバル展開を加速し
一人ひとりに寄り添う企業でありたい

HX2025の最終年度を迎えて

2021年度にスタートした「HX2025(Hisamitsu Transformation 2025)第7期中期経営方針」は、いよいよ最終年度を迎えます。

この5年間、私たちは新型コロナウイルス感染症による社会の変容、頻発する自然災害、そして地政学的な緊張や政治情勢の変動など、過去に類を見ない大きな変化の波に直面してまいりました。

このような社会、市場の変化のなか、第7期中期経営方針で掲げる経営目標達成に向けて概ね順調に歩みを進めています。

これはひとえに、「世界の人々のQOL向上を目指す」という経営理念のもと、全従業員が一丸となって邁進した成果であり、日頃から多大なるご支援をいただいておりますサプライヤーさま、お取引先さま、そして何よりも私たちの商品をご利用くださるお客さまをはじめとする、全てのステークホルダーの皆さまの支えがあったからこそと、心より感謝申し上げます。

情報開示や法規制の動向などにおいてサステナビリティの重要度も高まる中、HX2025の最終年度も気を引き締めて経営に臨む覚悟です。

中期経営方針の進捗

「HX2025(Hisamitsu Transformation 2025)第7期中期経営方針」で定義した新たに果たすべき使命についての2025年2月期実績は、売上高「CAGR5.0%以上」に対し、8.0%となりました。2023年2月期に5.0%を超え、その後も順調に改善を続けてきています。海外売上高比率「50.0%以上」については47.2%となり、目標達成には至っておりませんが、この間、着実に上昇傾向にあります。アフリカ・ナイジェリアでの「Salonpas」上市も行い、一般用医薬品事業における新規市場展開、商品拡充に加え、米国をはじめとした地域における医療用医薬品の進展も進め、目標達成に向けて取り組みを進めてまいります。ROE「8.0%以上」に関しては、目標数値である8.0%を1年前倒しで達成しました。引き続き業務改善や新たな研究開発体制の本格的な稼働により、一層の取り組みを進めていきます。

また、東京証券取引所が要請する資本コストや株価を意識した経営を進めていることをステークホルダーにお伝えするために、2025年3月には「キャッシュアロケーションに関する基本方針」を策定いたしました。今後も投資戦略に関してステークホルダーの皆さまのご理解と信頼をいただけるような経営に努めてまいります。


Expand~拡大する~『成長の柱』

「サロンパス」のグローバルな成長に関しては、積極的な販促活動などにより海外で前期比17.4%増となり、着実な進展が見られました。さらに、「フェイタス」「バイバイフィーバー」についてもそれぞれ海外で346.1%増、17.3%増と順調に進展しております。また2023年に譲受した「エスカップ」の国内売上の増加をはじめ一般用医薬品も国内外ともに売上が伸びており、インバウンド需要や営業活動などの効果が見られます。

医療用医薬品においては、国内全体としてはやや伸び悩んだ部分はありますが、経皮吸収型持続性疼痛治療剤「ジクトルテープ」の国内売上も順調に増加、原発性手掌多汗症治療剤「アポハイドローション」についても疾病に関する認知促進が進み、売上増となっています。海外においては「XELSTRYM」をはじめとした商品群が着実に伸びております。


Exceed~壁を超える~『課題の克服』

海外展開に関しては、既存の市場と新規に進出した市場それぞれ体制強化を進めています。さらに、未開拓の市場においても各国・各地域の法規制や文化、生活慣習等の違いを踏まえて展開の検討を進め、きめ細かな対応により海外売上高比率における目標達成に挑んでいきます。

また、米国を中心にノーベン社の機能を最大限に生かした「XELSTRYM」のさらなる展開を図るなど、医療用医薬品、一般用医薬品共に新たな商品導入を含めた一層の伸展を見込んでいます。


Enhance~強化する~『機能の強化』

研究開発力の強化に関しては、新研究所「SAGAグローバルリサーチセンター」の運用本格化が進み、次のステップへの確かな基盤が整いました。グローバルなパイプラインの拡充を目指し、多様な関係者とのエンゲージメントを踏まえたイノベーションの実現を進めます。生産体制については、製造工程におけるデジタル化や人員の交流を含め、現場での自発的改善を促す施策を含め、マザー工場としての鳥栖工場の機能充実とグローバルな供給能力の向上を目指した体制構築を進めています。販売・営業体制については、DXによるこれまで培ってきたノウハウのデータ化、ナレッジ化を進め、グローバルな体制構築とより丁寧なローカル対応を並行して実現できる体制構築を進めてきました。これらの基盤となる機能強化がHX2025の目標達成を確かなものにすると考えています。


社会課題の解決に向けて

HX2025の期間は、同時に様々な社会課題が顕在化した時期でもありました。新型コロナウイルス感染症、保健医療体制に関わる問題、気候変動に起因する気象災害の激甚化、格差・差別といった人権に関わる問題など、企業運営に密接に関わる課題として、その解決に向けた取り組みの重要性は増すばかりです。

気候変動に対しては、エネルギーマネジメントをグループ全体で推進し、温室効果ガス(GHG)排出量の削減を進めています。自社だけでは達成が難しい課題についても、宇都宮工場が立地する「清原工業団地スマエネ事業」に参画し、地域や複数他社と協働したプロジェクトに積極的に参加するなど、実質的な効果を目指した取り組みを進めています。GHG排出のスコープ1・2における自社対応はもちろんのこと、商品・サービスの原材料採取から使用、廃棄に至るライフサイクル全体でのスコープ3の低減も、GHG排出量全体の大部分を占めることから重要課題として取り組んでいます。

水資源リスクへの対応、生物多様性・生態系保全といった事業に関わる課題に対しても、より具体的な施策を実施できるよう、各国の製造拠点の状況を把握し、取り組みを進めています。商品・サービスに関わる課題については、梱包・容器包装・物流・廃棄といった細かな観点を踏まえ、「HELLO! eco!」マーク※のような具体的な対策を実施することが重要だと考えています。近年注目されるプラスチック問題に関しても、リサイクルPETの使用拡大などを通じ、企業としての責任を果たしてまいります。

環境面だけでなく、社会的な課題についても重要です。グローバルに事業を行うにあたって、人権課題など含め、生活環境と自然環境の調和、文化の違いを踏まえ、国内視点だけでは気づけない課題を考慮し、多様性を重視した取り組みを推進してまいります。これに加え、人事面においても透明性を持った仕組みを構築し、グローバルな人的戦略を策定・推進していくことが必要不可欠であると認識しています。

サステナビリティ領域の様々な事案が、制度としてより厳密に求められるようになっていることも踏まえ、世界の人々のQOL向上を担う企業グループとして、皆さまから信頼されるよう努めてまいります。


自社のエコ基準をクリアした商品に表示するマーク。詳しくは https://www.hisamitsu.co.jp/sustainability/hello-eco.htmlをご覧ください。

ステークホルダーの皆さまへ

社会情勢が不確実な時代において、「世界の人々のQOL向上を目指す」という久光製薬グループの経営理念は、その重要性を一層高めています。この理念の実現には、事業に関わる多くのステークホルダーの皆さま、そして何よりも私たちの商品をご利用いただく患者さん、お客さま一人ひとりと真摯に向き合うことが不可欠です。

佐賀県鳥栖市という、大都市とは異なる自然豊かな地域に本社を構える久光製薬だからこそ気づき、実行できる取り組みも少なくないと信じています。そのためには、適切な情報を開示し、皆さまと共有することでエンゲージメントを深めることが必須であり、様々な地域、それぞれの立場で状況をしっかりと把握し、共に取り組みを進めることが必要です。

今後とも、ステークホルダーの皆さまに信頼されるパートナーとなれるよう、一層の精進を重ねてまいりますので、変わらぬご支援とご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

代表取締役社長 中冨一榮

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