どうして汗をかくの?

汗は、上がった体温を下げる働きがあります。
また、緊張やストレスで汗を
かくこともあります。

汗をかくと、汗の水分が皮膚で蒸発する時に周りから熱を吸いとり(気化熱)、皮膚の温度が下がります。汗は体温を下げ、体が熱くなりすぎるのを防いでいます。また、「今日の野球の試合は“手に汗を握る”展開だった」と表現するように、ドキドキやハラハラなど精神的な興奮やストレスにより汗をかくこともあります。

精神的な理由でかいた汗は、ヒトの進化の過程で、サルのように木の上で生活していた時のなごりといわれています。獲物をとったり、敵から逃げたりする時に、手や足がすべらないように湿り気を与える役割を果たしていたと考えられています。

汗はどのように出てくるの?

体温が上がったという情報を脳が受け、その情報を神経に伝えます。そして、神経から汗を出す刺激となる物質が汗をかく器官であるエクリン汗腺に伝えられ、エクリン汗腺から汗が出てきます。

汗は汗腺という器官から分泌されます。汗腺にはエクリン汗腺、アポクリン汗腺、アポエクリン汗腺の3つがあります。
エクリン汗腺という汗を分泌する器官は手のひらをはじめ、全身に広く分布しています。
汗をかく時は、脳の視床下部から汗を出す指令が交感神経に伝えられます。そして、交感神経からアセチルコリンという発汗を促す物質が分泌され、エクリン汗腺にある受容体に結合し、刺激が伝わるとエクリン汗腺から汗が出てきます。局所多汗症は、この指令系統が過剰になっている状態です。
エクリン汗腺から出てくる汗の99%は水分で、ミネラルやアミノ酸、乳酸、アンモニアなどが溶け込んでいます。エクリン汗腺からは、体温調節やストレスなどの精神的な刺激で汗が出てきます。

アポクリン汗腺という、わきの下などの限られた部位に汗を分泌する器官があります。
アポクリン汗腺からの汗は体温調節ではなく、ストレスなど精神的な刺激で出てきます。アポクリン汗腺から出てくる汗は、タンパク質や、脂質類、鉄分などが溶け込んでおり、やや白色で少しにごった色をしています。
アポクリン汗腺から出てすぐの汗は、ほとんど匂いがありませんが、時間が経過すると皮膚の常在菌がタンパク質や脂質を分解して、匂いが発生します。
アポエクリン汗腺は、最近報告された汗腺です。思春期以降の腋窩(えきか)多汗症患者さんのわきの下に出現することが知られています。

汗の豆知識

唐辛子を食べると
なぜ汗をかくの?
唐辛子を食べると、顔に汗をかくことがあります。これは顔には、唐辛子に含まれているカプサイシンに反応する神経があるからです。唐辛子を食べるとくちびるの周りを中心とした顔面で汗が出てきます。唐辛子による汗は、暑さの調節のための汗や、ストレスで手に汗を握るのとは違う種類といわれています。
出典:犬飼 洋子ほか:発汗学10巻より

汗の豆知識

動物は汗をかくの?
多くの動物の全身にはアポクリン汗腺が、足のうらの肉球にはエクリン汗腺があります。特に馬やある種の羊は、人と同じぐらいたくさんの汗をかきます。
カバは怒りや恐怖などのストレスで赤い汗をかき、ゾウは怒ると眼のまわりから青色の汗をかくことが知られています。
出典:汗はすごい 体温、ストレス、生体のバランス戦略 第2章エクリン汗腺とアポクリン汗腺 ・動物のアポクリン汗腺より

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