日本ではまだ一般的な更年期障害の治療法とはなっていないホルモン補充療法(HRT)ですが、欧米では、すでに15年~20年もの実績があり海外では常識化しつつあります。 もっとも普及率の高いオーストラリアでは56%、欧米では30~40%の高い普及となっていますが、日本では1.7%の普及率となっています。
欧米では更年期障害のスタンダードな治療法となっており、WHIの報道後は経皮吸収型製剤による治療が増えてきています。日本でも徐々にHRTでの治療が広まりつつあり、相談にのってくれる医療機関も増えています。今後の更年期障害への治療として、HRTに期待が高まっています。
1991年より米国で実施された、50~70歳の閉経後女性161,808人を対象にした大規模な研究です。生活保健習慣と、がん・心血管系疾患・骨粗しょう症の発生との関連を検討しています。
中間報告として、2002年に、HRTは心血管系疾患、乳がん発生などにリスクがあると報告されました。
その結果、日本でも女性たちに不安が広がり、HRTの使用が減少していました。
しかしその後、このWHI中間報告の問題点として、研究対象者が、
高年齢 | :HRT平均開始年齢 63歳 |
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肥満 | :平均BMI 28.5 (1/3がBMI≧30の肥満) |
喫煙 | :約半数が喫煙経験者 |
その他 | :35%が高血圧症 |
など、年齢層が更年期より高齢であり、あまり健康とはいえない女性たちであることが分かりました。
ちなみに、日本女性医学学会では、中間報告直後からWHIの研究対象者は日本の更年期女性には該当しないとの見解がなされていました。