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「清原工業団地スマエネ事業」本格稼働

(清原スマートエネルギーセンター)

宇都宮工場が立地する栃木県宇都宮市清原工業団地で、2019年12月からエネルギーの全面供給が開始(当社への供給は2019年9月)。2020年4月には、「連携省エネルギー計画の認定制度」の認定も受け、久光製薬のGHG削減は新たな段階を迎えました。

宇都宮工場は、創業140周年の記念事業として1987年6月宇都宮第1工場が竣工しました。1980年代から増え続ける商品需要に対応することが鳥栖工場単独では難しく、また、東日本エリアへ即応できる体制をとることが主な目的でしたが、現在は、モーラス®テープ等を中心に東日本エリアをはじめ、米国、アセアンおよび中近東地域へも輸出する久光製薬の主要製造拠点となっています。

※GHG:温室効果ガス(Greenhouse Gas)

清原工業団地スマエネ事業とは

栃木県宇都宮市にある清原工業団地内に清原スマートエネルギーセンター(以下「本センター」)および電力自営線・熱導管からなる供給インフラを新設・運用し、7つの事業所のエネルギー供給を担う事業です。内陸型工業団地内の複数事業所間で電力と熱(蒸気・温水)を共同利用する国内初の「工場間一体省エネルギー事業」で、久光製薬、カルビー株式会社、キヤノンの3社が、ガスコージェネレーションシステム(以下「CGS」)の導入などの実績を持つ東京ガス株式会社および東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社(以下「TGES」)と連携することで実現したものです。 本センターで発電した電力を電力自営線で、発電時の廃熱で製造した熱(蒸気・温水)を熱導管でそれぞれ供給し、情報通信網(ICT)を活用したスマートエネルギーネットワークによる電気と熱の面的利用により、エネルギーの地産地消を実現します。 また、最新のICTを活用したエネルギーマネジメントシステム(SENEMS)により、需要状況が異なる7つの事業所で使用する電気と熱(蒸気・温水)の情報を集約し、需要変動に応じた最適運用を行います。本事業を通じて、経済性向上はもちろんのこと、単独事業所では実現が難しい約20%の省エネと約20%のCO₂排出量の削減を実現します。

▲清原スマートエネルギーセンター竣工式典のようす
左より、東京ガス(株)、
カルビー(株)、
キヤノン、久光製薬(株)、
TGES(株)代表

清原工業団地スマエネ事業参画による
環境負荷低減

宇都宮工場では、製造ラインおよび空調設備の効率化、高効率な製造設備の開発・導入など、さまざまな方法で環境負荷低減に努めてまいりました。 今回の清原工業団地スマエネ事業参画により、宇都宮工場のCO₂排出量の削減目標である前年度比20%に対して、2019年度のCO₂削減率は年間換算値で約20%削減(稼働月9月~3月末:10.4%削減実績より換算)と、良好なパフォーマンス結果を得ることができました。同様にエネルギー使用量に関しても前年度比約20%の削減(稼働月9月~3月末:10.5%削減実績より換算)となりました。 他社との連携により、当社だけでは達成することができない環境負荷低減を可能にしました。今後も、継続的に環境負荷低減に貢献できることが期待されます。

▲本センターより排出された蒸気を久光製薬の敷地内へ

宇都宮工場における環境マネジメントシステム

宇都宮工場では、環境への取り組みとして、ISO14001(環境マネジメントシステム)の認証を取得し、運用をしています。
ISOの目標設定を業務プロセスと統合し、製造部門および品質管理部門で、主に省資源、省エネルギー、廃棄物削減の継続的改善に取り組んでいます。
今回の清原工業団地スマエネ事業に関しても、ISOの目標の一つに掲げ、取り組んでまいりました。
また、労働安全衛生に関してもISO45001の認証を取得し、環境と統合したEHS(環境及び安全衛生)マネジメントシステムとして効率良い運用に努めています。

宇都宮工場EHS担当部門長

宇都宮工場1課 課長
高野 雄一
宇都宮工場グループでは生産活動におけるカイゼン活動やモーダルシフトなどで環境負荷低減を実施してきましたが、今回の清原工業団地スマエネ事業への参画で、今まで以上に、省エネ、CO₂排出量削減が加速され地球環境の保全に貢献できると思います。 また、今回の事業への参画およびISOの認証取得により、清原工業団地内をはじめ、地元のなかで「久光製薬」があらためて認識されたことも大きく、今後も自分自身「久光プライド」を持って業務に取り組んでいきます。

宇都宮工場品質管理部 試験管理課 課長
川崎 醸
宇都宮管理グループでは、主に、カイゼン活動による省資源化、環境に関する法令遵守、パッケージのコンパクト化などを推進しています。ISO14001の認証取得は、清原工業団地スマエネ事業への参画に関しても、従業員の環境課題意識のさらなる向上につながり、社内効果として大きな成果をあげています。また、ISO45001の認証取得は、リスクアセスメント評価の重要性を再認識させ、EHS全体の推進としても新たな課題を見いだすきっかけとなりました。

大塚 政勝
東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社
清原スマートエネルギーセンター 所長
鶴田 敏明
取締役執行役員 生産環境本部 本部長

清原工業団地スマエネ事業から環境問題解決に向けて

清原工業団地スマエネ事業は、東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社(TGES)本センターで3社7事業所のエネルギー管理を一括して行い、各事業所に供給し、最適なシステム管理を行う事業です。 全事業者にとっての重要課題である環境問題などに関して、久光製薬生産環境本部長鶴田敏明が清原スマートエネルギーセンター所長の大塚政勝様と対談させていただきました。
開催日2020年8月24日
開催場所九州本社および宇都宮工場(WEB会議形式にて実施)

【 ごあいさつ 】

鶴田:本日は、お忙しいなか、貴重なお時間をいただきましてありがとうございます。2019年12月から本格的にエネルギー供給が始まり、環境面での効果も表れております。本日はあらためてこれまでの経緯やこれからの対応などお話しできればと思っています。まずは、TGESのご紹介をお願いします。

【 エネルギー課題への取り組み 】

大塚:TGESは、首都圏のお客さまを中心として都市ガス・電力の供給を行っている東京ガス株式会社100%出資のエンジニアリング会社です。半世紀にわたりエネルギー施設や設備の管理、運営を行ってきた豊富な知見に基づくユーザーズノウハウを強みとし、エネルギー分野とその周辺領域で総合的ソリューションを提供することを目指しています。具体的には、海外から調達したLNG(液化天然ガス)の受け入れ、都市ガスの製造、供給を担う「LNG基地」、「パイプライン」などの設計・建設・保守対応、工場や病院、ホテルなどにおいてコージェネレーションなどの分散型電源を軸とする事業所ごとのオンサイトエネルギーサービス事業を展開しています。また、地域を対象としてエネルギープラントを構築し、複数事業所に対しての熱や電気を効率的に供給する地域冷暖房、スマートエネルギーネットワークといったサービスを日本全国、そして海外でも展開しています。

鶴田:久光製薬として、生産時の環境負荷はこれまでも大きな課題であり、さまざまな取り組みをしてきましたが、これ以上の取り組みに、ある種の限界も感じていました。

大塚:単独の生産施設でのエネルギー管理における課題解決の難しさは、まさにその部分にあるかと思います。TGESのスマートエネルギーネットワークは、計画的な長期運用、複数事業所による規模の適正化といった単独では難しい課題を解決するソリューションであり、確実な効果が見込めるものです。

▲九州本社および
宇都宮工場での対談のようす
【 東日本大震災が残した課題 】

大塚:栃木県、宇都宮市とも東日本大震災を契機として電力の安定調達、災害に強い地域づくりの対策に注力されており、事業の実現に向けた機運が高まっていました。また、省エネ法対応においても単体事業所での限界などから県の担当者レベルでもいろいろと対策について検討していたようです。

鶴田:そういった自治体の課題がベースにあってこの事業の立ち上げが円滑に進めることができたということですね。また、東日本大震災で、この宇都宮工場も被災し、復旧までに大変苦労しました。

大塚:私もさいたま地域冷暖房センターの設備復旧に携わり、BCP*の観点からもCGSを持つエネルギーセンターの集中管理による有効性を実感しました。

【 パートナーシップ 】

鶴田:今回の事業は栃木県や宇都宮市といった自治体の協力があったことも大きなポイントだと思っています。久光製薬においても社内の取りまとめを行うに当たり、自治体の協力が大きな後押しになりました。

大塚:本事業と似たものはこれまでも実施されているのですが、ここまで包括的でかつ内陸部で実施されたのは初めての事例です。TGESとしても、単なるGHG削減、省エネルギーといった部分に留まらず、地域活性化、エネルギーの分散化によるレジリエンスの向上、地産地消、公共投資を含めたインフラ投資の在り方、パートナーシップの構築やそのプロセスの向上など、さまざまな意味合いを持つ事業だと思っています。

鶴田:久光製薬においてもESGの包括的な推進は大きなテーマであり、この事業についてもパートナーシップ構築といった社外との関係だけでなく、環境マネジメントシステムの見直しなどを通じて、設備メンテナンスや、ひいては従業員の働き方、意識変革などといったプラスの側面が多くみられるところです。今後の課題感などはありますか。

大塚:スマートエネルギーネットワークについてもまだ多くの改善余地があると思っています。エネルギーを作る側と使う側との情報共有をさらに円滑にすることや広くエネルギーの利用者に対し適時適切に情報を発信することなどにも取り組んでいるところです。

鶴田:私たちが、「世界の人々のQOL向上」を目指すためには、土台となる「環境」なくしては成立いたしません。当社は、“自然環境(生態系サービス)”から生み出される原料、商品、サービス等により成立しており、「環境保護」は第一に優先すべき課題だと認識しています。バリューチェーンも含めた全領域において取り組みを推進するためにも、TGESさまや各自治体をはじめとするステークホルダーとのパートナーシップは重要だと考えています。本日はいろいろとお話を伺い、より広い視野を持って取り組むことの大切さを教えていただいた気がいたします。最後になりましたが、対談にご参加いただき、まことにありがとうございました。

宇都宮工場 製造部 部長
永利 昌弘
今回の事業への参画は省エネルギー、CO₂排出量の削減、経済性という点での貢献度はもちろん大きいのですが、私自身が経験した東日本大震災での製造停止を余儀なくされたリスク管理の面も重要なポイントとなっています。 本事業は、当社だけでは達成することができなかった事業です。パートナーとの連携により、環境負荷低減とBCP*対策(商品の安定供給・災害対策・エネルギーの確保等)に今後さらなる展開が期待できると考えています。

宇都宮工場 製造部 次長
太田 雅樹
本事業に関しては自治体も含めたパートナーシップで事業を進めることができた点が、大きな実現要因だと思います。社内外の多くの関係者によって実現できたことを感謝しています。これからの時代は、パートナーと連携し、社会的な問題を解決していくことが求められる時代であることを認識しています。

宇都宮工場 環境管理課 課長
谷中 哲男
2016年の本事業の契約締結から実施に至るまでの約3年間、さまざまな設備の見直しや数多くの困難な課題がありましたが、その努力が良好なパフォーマンス結果として得られ、環境負荷低減に貢献できたことをうれしく思います。また、ISO14001の推進においても、一人ひとりがその重要性を再認識する機会となり、大変効果的でした。

*BCP:Business Continuity Plan

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