| アオキ 1月号/vol.67 |
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用部:葉、果実 (桃葉珊瑚 トウヨウサンゴ) 用途:火傷、はれもの 原産地:日本 冷たい空気に、思わずキュっと体を縮ませてしまう季節。多くの木々は葉を落とし、冬の景色はとても寂しげ。そんな中、青々とした葉を茂らせているのがアオキです。 縁がギザギザと尖った葉は、まだら模様が入っているもの、緑一色のものとさまざま。葉の間から覗くのは、丸く赤い実。アオキは葉、茎、枝、実、全てが緑色。けれども、実だけは秋から冬にかけ、赤く熟すのです。 背中を丸めて、手をポケットに突っ込んで。俯きがちに歩く寒い日。灰色の空の下、草木も凍えた冬の景色に映える、艶やかな葉、赤い実り。私たちは庭や公園で、そんなアオキに出会うでしょう。 「背筋を伸ばして、顔を上げて。…私たちを見て。」 アオキたちは私たちに元気を分けてくれています。その、寒さに負けない元気な姿を冷たい木枯らしに吹かれながら。 |
| ジャノヒゲ 2月号/vol.68 |
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用部:根の肥大部 生薬名:麦門冬(バクモントウ) 用途:鎮咳・去痰 原産地:日本・東アジア 北風に揺れる、葉を落とした梢たち。冬の景色はどこかに彩りを忘れてきたように寂しげ。家の庭や公園の植物たちも、遠い春を待ち侘びながら、じっと身を潜めています。 そんな中、ふさふさと緑の葉を茂らせているのがジャノヒゲです。別名は“リュウノヒゲ”。名前の通り、この草の葉は髭のように細く伸びています。葉の隙間から覗くのは濃い青色。その艶やかな種は、葉の影にこっそりと隠れて実ります。 「寒い寒い」と、足早に過ぎてしまえば、見落としてしまう小さな秘密。見つけたらなんだか幸運になれそうな気がします。 足元に芽生えようとする春の兆し。ジャノヒゲの青い実り。 踏み出す足をゆっくりにして、小さな幸運を探しながら、冬の風景を歩いてみてはいかがでしょう? |
| コノデガシワ 3月号/vol.69 |
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用部:葉・種子 生薬名:側柏葉(そくはくよう)・柏子仁(はくしにん) 用途:収れん、鎮痛、止血など 真冬にもみどりの葉を茂らせたコノデガシワ。小さなウロコが集まったようにギザギザで、細くピンッと立ったその葉の形が広げた子どもの手のように見えることから“児の手柏-コノデガシワ-”と名づけられました。 春が近づくこの頃では、その枝先に小さな花の姿を見つけることができます。黄褐色の雄花、淡い緑色の雌花。一本の木に二種類の花。秋にはまるで金平糖のように丸く、小さな角を持った実りを結びます。 ギザギザで、角があって。でも冬にもやさしく緑を育んで、鳥や虫たちに温かな腕を差し伸べていたコノデガシワ。晴の日には、コノテガシワと日向ぼっこなんていかがでしょう? |
| シダレヤナギ 4月号/vol.70 |
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用部:幹、枝、葉 用途:打ち身、腫れ物など 原産地:中国 細い葉がまるで糸のようにも見えるので、イトヤナギとも呼ばれるこの植物はシダレヤナギ。奈良時代、中国、朝鮮半島を経て、日本に渡来しました。 水気に強く、挿し木でもどんどん成長することから、街路樹や庭園、川沿いなどに植えられてきました。 雨垂れのように下がる枝や葉の姿が強く印象に残りますが、春に咲く黄色の花もとても魅力的。 ヤナギの葉のように細くて美しい眉を「柳眉」。長くて美しい髪を「柳髪」。艶やかで美しい女性の姿は、しなやかでか細い柳の木に喩えられるもの。 春風に揺れるシダレヤナギの風景を、大切な想い人と歩いてみてはいかがでしょう。 |
| ヤシャブシ 5月号/vol.71 |
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生薬名:夜叉五倍子 薬用部:果実 薬効:収れん・やけど・凍傷など 爽やかな風。木々は青々と葉を繁らせ、力を分け与えくれるよう。 ヤシャブシの枝先にも、若々しい葉と、ところどころに果実の姿。春早くに細長く垂れる雄花とコロンと丸みのある赤い雌花を咲かせ、今は実りの季節。 ヤシャブシは漢字で“夜叉五倍子”と書き、ボコボコとした果実が夜叉(おそろしい鬼神)のようであること、果実にタンニンを含むところが五倍子(フシ)と同じであることから、この名前がついたと言われています。でも、果実は松ぼっくりに似て、むしろ愛らしいほどで、リースや染料にも用いられています。 耳を澄ませば聞こえてくる、風に揺れる梢の音。それは“本当は名前ほど恐ろしくないの”というヤシャブシの声かもしれません。 |
| クワ 6月号/vol.72 |
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生薬名/用部:桑白皮(そうはくひ)/根皮 桑葉(そうよう)/葉 薬効:利尿・解熱・鎮咳 陽射しが日ごとに強くなり、夏はすぐそこ。春に花を咲かせていたみどりたちも一息つく季節です。 その中に、いち早く実を結ぶものがいます。それがクワ。小さな粒がぎゅっと集まった長細い実は甘酸っぱくて、昔は子ども達が道々に摘んで食べていたものです。あとで食べようとポケットに忍ばせて、いつの間にか潰れてしまっていたクワの実。紫に染まったポケットをお母さんに怒られたことも…。 「やまのはたけのくわのみを♪」とは、童謡「赤とんぼ」の一節。口ずさめば、甘酸っぱいあの味と、遠い想い出がよみがえってくるようです。 |
| ハンゲショウ 7月号/vol.73 |
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用部:全草 生薬名:三白草(サンパクソウ 用途:利尿、解熱、解毒など 原産地:日本、朝鮮半島、中国など 6月の半ばを過ぎると夏至を迎え、太陽の照らす時間が少しずつ短くなっていきます。そして、夏至から数えて11日目は半夏生。 この頃、ハンゲショウの名を持つ植物も花を咲かせます。ひょろりと細長い穂のような花。しかし、目を引くのは花ではなく色を変える葉。若々しい緑はおしろいをしたように白く染まります。ただ、完全に変わるのではなく、半分だけ。そのため、“半化粧”などと呼ばれることも。やがて花が咲き終わる頃、葉は再び緑色に。水辺に揺れるハンゲショウ。涼やかな白い葉は夏の初めの、ほんのひと時のお楽しみ。 来年の半夏生の頃に、またお会いできますように。 |
| ホップ 8月号/vol.74 |
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用部:果穂、腺体 用途:芳香性苦味健胃、鎮静、利尿 原産地:ヨーロッパ ジリジリと肌を焦がす太陽の熱。そんな暑さにも負けず、みどりは枝葉を元気に伸ばしています。 勢いよく伸びたツルに、たくさんの毬花(まりばな)を吊り下げているのはホップ。毬花とは“松かさ”に似ている花のようなもので、ビールの原料になります。紀元前、ヨーロッパでは野生のホップが自生し、一部ではビールの原料としての使用が始まっていました。 その後、ビールの苦みや香り、保存に欠かせないものとなり、16世紀のドイツでは「ビールは、麦芽、ホップ、水のみを原料とする」という「ビール純粋令」が出されたほどです。ビールの原料以外にも、民間療法で健胃や鎮静作用のあるハーブとして使われています。 暑さにばててしまいそうな時、「冷えたビール」…ではなくて、「冷たいホップティー」で一息ついてみてはいかがでしょう。 |
| アケビ 9月号/vol.75 |
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用部:茎 生薬名:木通(もくつう) 用途:消炎、利尿など 真夏の頃よりも少し高くなった空にはいわし雲。だんだん秋の気配が近づいてきました。木々や電柱などに巻きつきながら、高みを目指してツルを伸ばすアケビには、実りの時期が訪れています。 楕円形の葉が5枚集まって手のひらのように茂り、ところどころに紫色の実。大人の握りこぶしくらいまで大きくなるこの実は、熟れるとパカッと割れてしまいます。分厚い皮の中には小さな黒い種がたくさん。その周りの白いゼリーのようなところを食べることができます。 野山を駆け回って遊んだ後のアケビ。それは懐かしい初秋の味。ゼリーは甘いけれど、種はちょっぴりほろ苦くて。口に含んだ種をぷっと飛ばしあったのも今では懐かしい思い出。 どっちが遠くまで飛ばせるかなんて、今ではもうできないけれども。 |
| ニシキギ 10月号/vol.76 |
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用部:翼状物のついた枝 生薬名:鬼箭羽(キセンウ) 用途:腹痛、駆虫など 移ろう季節は、景色を秋色とでもいうような赤や黄に染めていきます。心豊かな一時をくれる様々な木々の色。紅葉する木はたくさんありますが、中でも目を引くのがニシキギです。 細く薄いコルク質の翼のようなものがついている枝が特徴で、カミソリのように見えることからカミソリの木とも呼ばれます。 しかし、この枝が腹痛などのくすりになり、民間療法ではとげ抜きにも使われてきました。 そこかしこで色を変える植物達。ニシキギはひときわ燃えるような赤で野辺を彩り、鮮やかな錦を見せてくれています。 |
| サンシュユ 11月号/vol.77 |
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薬用部:果実 生薬名:山茱萸(さんしゅゆ) 用途:滋養、強壮、収斂など 木枯らしの冷たさに、秋の終わりと冬の訪れを感じます。動物たちもいそいそと冬支度。あっちへこっちへ食べ物集めに大忙しです。 そんな動物たちにも見えていることでしょう。サンシュユのおいしそうな真っ赤な実。 サンシュユはハナミズキの仲間で、江戸時代に中国、朝鮮半島から伝わりました。楕円形の赤い実に、滋養、強壮、止血などの効果があります。実はそのまま食べることができますし、種を抜いた果実を乾かして果実酒にも。 別名の「ハルコガネバナ」は、春に黄金色の花を咲かせることから。では、珊瑚のような赤く綺麗な実を結ぶ今の季節は?答えは…「アキサンゴ」。 |
| サネカズラ 12月号/vol.78 |
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用部:果実 生薬名:五味子(ごみし) 用途:鎮咳、滋養、強壮 原産地:日本、台湾、中国など 気温も湿度も下がり、頬や指先もひんやり、カサカサ。吐き出す白い息に目をやれば、その先には木に巻きつく蔓草の姿。 ツヤツヤとした葉。鮮やかに赤い球のような果実が身を寄せ合って大きな球を形作るその植物は、サネカズラ。紅葉の季節も過ぎ、彩りを潜め始めた植物たちの中で、ひときわ目を引く赤い果実。 日干しにすると五味子という咳止め、滋養、強壮のくすりに。また、昔の男たちはサネカズラの枝や樹皮から取れる液を整髪に用いました。黒髪をきりりと撫で付けた美男子。だから、“ビナンカズラ”とも。乙女たちは頬を染めて、美男子の姿に心を揺らしていたのでしょう。それはまるで、風に揺れるサネカズラの赤い果実のように。 |