CSR活動 2016

特集

秋月黒田藩五万石の城下町
春小路(はるこうじ)の武家屋敷、久野(ひさの)邸を訪ねて

地域社会とのコミュニケーションを大切にと願う当社は、地域の各種交流会や情報提供、文化財保護にも力を入れています。その一つに「筑前の小京都」と称される秋月(あきづき・福岡県朝倉市)の「武家屋敷久野(ひさの)邸」の維持管理があります。当社と久野邸とのかかわりや現状についてご紹介します。

「時櫓跡」から一望する秋月城下
城下町秋月の歴史と文化を語り継ぐために
春小路のT字路に面する久野邸

福岡県のほぼ中央に位置する朝倉市秋月。福岡藩の分家だった秋月藩5万石の城下町秋月は、かつて、筑前博多から天領日田に通じる交通の要衝として栄えていました。豊かな自然に囲まれた山城跡「御館(おやかた)」を中心に、白壁土蔵、武家屋敷、古風な格子をもつ民家が建ち並び、城下町らしい情緒を漂わせています。
現在は人口800人ほどの閑静な地区ですが、「筑前の小京都」として全国に知られ、年間約30万人もの観光客が訪れます。国の重要伝統的建造物群保存地区に指定されたのは平成10年のこと。城下町がまるごと保存地区に指定されているのは全国でもここだけといわれています。久野邸も、秋月藩初代藩主・黒田長興(ながおき)公に仕えた上級藩士の屋敷で、江戸時代初期に建てられました。
平成5年、秋月観光協会等からの依頼を受け、地域とのかかわりを大切にと考えていた当社が、老朽化した久野邸の修復と保存を担当することになりました。久野邸が当社会長・中冨博隆の母の生家であったこと、秋月の歴史と武家社会を語り継ぐ貴重な文化財であることなどもその理由でした。

660坪の久野邸
藩主拝領の2階屋がある珍しい武家屋敷
座敷の次の間から見る回遊式泉水庭園

長興公(長政の三男)とともに秋月にやってきた久野家初代・惣右衛門(そうえもん)の役職は藩主の側近くにつかえた馬廻(うままわ)りの中老で、知行130石(こく)※1。春小路の現在地に660坪の屋敷を拝領して住んだのが久野邸の始まりです。
当時、家臣の敷地は100石につき約300坪が配分されたそうですが、久野邸の敷地は石高(こくだか)以上に広く、また重役も造ることが許されなかった2階屋を藩主から拝領しています。久野邸の特徴でもあるこの2階に上がり、東側の障子窓を開けると真正面に見えるのがお城。「お姫様が来られたときにお城が見えるように建てられた」という話も残っています。
「石高以上の優遇は古くから黒田家に仕えてきた家柄と武功が高く評価されていたのでしょう」と教えてくれたのは、久野邸を管理する秋月生まれの井上英樹さん(60)。10年前に管理人になってから歴史を猛勉強したとか。
久野邸には、腕木門(うでぎもん)、門横の珍しい2階建の中間部屋(ちゅうげんべや)、5つの部屋がある茅葺きの母屋(おもや) 、藩主拝領の2階屋、離れ座敷、厩(うまや)、蔵といった建物群と、水路から引き込んだ清流が回遊する泉水庭園があります。邸内は時おり小鳥たちの声が響くだけの別世界です。

※1 出典:平田望寿 随筆

久野邸の写真 久野邸の写真 久野邸の写真
平成6年4月から一般公開

当社とのかかわりは、前会長の中冨正義に、久野家から菅子(すがこ)が嫁いできたことに始まります。菅子夫人は、久野家最後の当主9代米三郎(よねさぶろう)氏と悦(えつ)夫人の間に授かった7人兄妹の3女でした。久野家は、正義前会長にとっては妻の実家、博隆会長にとっては母の実家にあたります。しかし、昭和54年、屋敷を最後まで守っていた悦夫人(菅子夫人の母)も99歳で亡くなりました。
代々住居として使われてきた久野邸ですが、悦夫人亡きあと後継者もなく、築400年の屋敷はひどく老朽化していました。このため、古文書などを参考にできるだけ屋敷を初期の姿に戻す方針のもと、平成5年、母屋、離れ座敷など計5棟の修復工事に着手。かまどや五右衛門風呂(ごえもんぶろ)、つるべ式井戸も修復し、庭園も整備しました。別棟の蔵は久野家の生活用具や古文書、刀、武具などを展示する「蔵資料館(くらしりょうかん)」とし、修復した屋敷とともに平成6年4月1日から一般公開を開始しました。以来、朝倉市観光協会とも協力しながら地域の歴史・文化の継承に努めています。

別棟の「蔵美術館」

大河ドラマ『官兵衛(かんべえ)』以後、徐々に全国に知られるようになった久野邸の昨年の来訪者は3,798人、2016年4月だけでも500人を超す方々が訪れました。皆さんもぜひ一度、秋月の歴史と文化を受け継ぐ武家屋敷久野邸を訪ねてみてください。

地図
武家屋敷久野邸 : メモ
  • 福岡県朝倉市秋月春小路83-2
  • 観覧料 : 300円(就学前児童は無料)
  • 営業時間 : 午前10時~午後5時
  • 休館 : 月曜日(祝日の場合は翌日の火曜)、12月下旬~2月末
  • 電話 : 0946-25-0697
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